
稼ぐ超思考法・岡本史郎
自分のビジネスの歴史と業態の歴史を一度調べておく。これを早速実行してください。
自らが、自社や業態の歴史を調べておくことで、今後の行く先も見えてくると言うわけです。この作業をしておくと今後大きな意味を持ってくるようになるはず。
この世の「特別」は必ず平準化する。
これがわかっていれば十分です。
そうすれば未来は見えます。
当然ですが、「特別」の中には、ちゃんと「特別」の理由があるものもあります。
人よりも努力をしていたり、まだ誰も知らない情報を持っているために「特別」が現出しているとすれば、周りが同様の努力をするまでや周りが同じ情報を持つまでは「特別」は続きます。
しかし、それはそれほど長く続かない。それも現実です。
ですから、やはり、「特別」は必ず平準化すると考えるのが利口です。
他の分野から方法を借用することを「プリコラージュ」といいます。「プリコラージュ」は、構造人類学の創始者レヴィ・ストロースが名づけました。そして、他の分野の構造を積極的に借りてきた方が成果が多いと考え、自身の研究の中でも構造の借用を行ってきました。
単にライバルのチラシなどをマネしてしまえば盗作ですが、まったく関連のなり分野から構造だけを持ってきて当てはめる。このやり方は、マーケティングから商品企画、組織編制など経営のいろいろな分野で使えます。
経営者に必要なものを、あえて2つ上げておくとすれば事業観と歴史観だと私は思っています。そして、後者の歴史観がいかに重要かは、今の「プリコラージュ」の例でご理解いただけたと思います。
重要なことは、それが少しずつ起こるのではなく、「ある日突然」に起こること。
それまで恰好良かったロックがある日を境にダサイものになったり、活躍していたマンが家が突然退場するのに理由は全く入りません。スキャンダルや事件で消えていく人たちもいますが、基本的にはどんなものでもある日突然退場することになっています。
今の動きが満潮になった時。それが一つのシグナルです。
一つの動きがピークを迎えたときには、すでに次の準備がはじまっている。そして、それは満ちたものの反動であり、極端な部分の反動になって現れると思っていただければいいでしょう。
最近は変化の動きが大変速くなっているという事実です。
リスクを自覚的に選択するというのは、今の社会では意外に難しいことです。ですから、基本的には、いつもリスクの回避を考える。お金で解決できるのならば、なるべく他人にリスクを引き受けてもらうというのが常道でしょう。
「1・3・5の法則」
売上1億までは、第一幕(旅立ち)。3億までが第二幕(試練)前半、5億までが第二幕後半。そして、10億で第3幕(帰還)
「私は○○です」という形式の○○の部分を埋めてもらう作業。最低でも100個考える。
「初期条件に対する鋭敏な依存性」は、厳格な法則として静かにたたずんでいます。
初期の入力値のわずかな差は、時間の経過に伴って指数関数的に増大します。
実は、このスタートの微差が時間の経過と共に、とんでもなく大きな差を生むのです。
時間は、刻々と経過します。それは冷徹なほどですが、その冷徹さが、実は、初期値をモノにした人を応援している事実にも気づかなくてはいけません。
ですから、私たちが注意を向けるべきなのは、誰もが気にしない目立たない部分です。その代表が初期値、初期値はとても重要です。そして、実際の行動が動き出した後は、根底にに流れる目立たないもの。それらが運命を決めていきます。
そして、もうひとつ大事なのは時間です。
私たちは、いろいろ行動の結果を短時間で捉えてしまうところがありますが、そういうものは意味がありません。なぜならば、冷徹な時間の進行が、僅かな差である「原因」を一つの結果として形にするのは、「少しずつ」しかし、「後になるほど大きく」だからです。
いうまでもないことですが、仕事の苦痛は良いことです。
確かに、苦痛に負けることもあるでしょう。眠れない夜もあることでしょう。しかし、悶々とする自分をほめてあげましょう。
私たちは成長に合わせて苦痛が増えます。私たちは、どこかで成長の結果として静寂と安泰が待っていると思いがちですが、そんなことはありません。
それに、経営が厳しいほうが苦痛は多いと思いがちですが、それも違います。くどくいうようですが、経営が左前になると、価値関数のおかげで感覚は麻痺。苦痛は思っているよりも少ないものです。そもそも、悶々とする感性が敏感でその解消のために行動してきた人は経営が悪くなることなんて、一時的のはずです。
「絶え間のない悶々」と「20%ほどの損失」。これを維持することが「カオスの縁」の入り口ではないでしょうか。
生物体が現在の環境によく適応していればいるほど、それは、未来の変化に対する適応性を失う可能性がある。
「うまくやりすぎてはいけない」
これがフィッシャーのいいたかったことです。
「先頭とかトップグループにいるというのは、単に先頭を走らされているだけだ。もし、集団競争のゴールが別の場所に移ったら、一夜にして一番後ろの集団になってしまう。だから、今の状態というのは素直には喜べない要素がある。」
積極的な行動や新規事業への進出というと、前向きな夢を追うタイプのものだと思われがちですが、世の中にあるれるそういった話の大半は「恐怖心」がエネルギーになっている場合が多いものです。純粋な「こうやりたい」から出たものよりも、「早くしないと間に合わない」とか「このままじゃダメになる」といった「恐怖心」がエネルギーになっている。そんなものです。
「欲望の三角形」という公式があります。フランスの評論家ルネ・ジラールが作ったものです。
「欲望とは、自分が欲しいと思うから起こるものばかりではない。自分とは別の誰かが欲しがるから自分も欲しくなる。欲望は他人の欲望を模写することで生まれる」
何か仕事を始める場合は、「誰に嫌われたいか」をかなり具体的に明確化しています。まずは、嫌われる人を決める、それから商品企画や本のコンセプトを決める。こういう順序です。
どんなことでも、逆さまから考える。
合理化を考えるなら、非合理化を考える。
理解を求めるならば、非理解を求める。
好きなものを探すなら、嫌いなものを探す。
時間の有効化を考えるなら、ムダな時間を作ってみる。
ターゲットを決めるのではなく、非ターゲットを決める。
商品企画でも人事でも何でもかんでも、目指す方向の反対を思考してみるということやってみる。
一度生じたエネルギーはどこかでガス抜きをしないといけない。
人は選ばなかった選択を高く評価する。
大きな夢を持てば持つほど、喪失感は大きい。こっちの方が現実なのですが、通常は、こういった事実は社会全体で目をふさいでいるのが実態です。
こんな言い方をすると、夢なんて持たないほうがいいと私が言っているように聞こえるかもしれません。しかし、そういうことではなくて、あまりにも過剰なエネルギーを一つの方向に向けることには危険も多いと言うことをいいたいのです。
武道の世界では、達人ほど、エネルギーをあまり使わず静かに戦うと聞きます。これはビジネスの世界でも同様です。私が知る限り、達人と思える経営者は、エネルギーが低くてニコニコと涼しく行動しています。
なるべくエネルギーが過剰に出ないように常に意識する。それが長く経営を行っている勝ち組の共通点です。