AORとは?
AOR=Adult Oriented Rock。お馴染みの図式である。
しかし"AOR"という表記で作品群をイメージするのは、それこそ日本の音楽ファンだけだ。米国でAORといえばAlbum Orientedの略であり、"R"はRockとRadioの双方を意味する。
つまりシングル・ヒットを指向せず、アルバムをトータルに聴かせようとするロック、あるいはそれをオンエアするFM局、そんな言葉だった。
日本でいうAORはAC(アダルト・コンテンポラリー)と呼ばれ、ここにはフュージョン系のインストゥルメンタルや、クワイエット・ストーム系のブラック・ミュージックも含まれる。
しかしアルバム・オリエンテッドという捉え方は、あながち的外れではない。
それは全盛期のAORには、生活を彩るBGMとしての効用があったからで、アルバム1枚丸ごと楽しめるというのも重要なファクターだったのだ。
最近は1曲良ければOKという傾向が見受けられるが、これには断じてノーと言いたい。AORと呼ばせるには、トータライズされたテイストが必要なのだ。
スタイルを楽しむだけでなく、同時に感情や精神性を共有するための音楽なのである。
最近は1曲良ければOKという傾向が見受けられるが、これには断じてノーと言いたい。AORと呼ばせるには、トータライズされたテイストが必要なのだ。
スタイルを楽しむだけでなく、同時に感情や精神性を共有するための音楽なのである。
当時のカウンター・カルチャー
ベテラン勢による原点回帰的な試みから始まったアンプラグド
今にして思えば、確かに"クリスタル・ブーム"は女性リスナーを獲得し、AORをポピュラーにした。しかしファッション化させてしまう両刃の剣でもあった。だがその根底を支えていたのは、レコード店でメンバーを確認して"クレジット買い"するような、純粋な音楽ファンだったと思う。サラッと聴き流しても雰囲気を楽しめる。それでいて、アレンジやコード進行を分析しても、感心するほど奥が深い。それが当時のAORだった。
部屋でくつろぐ時、ハンドルを握る時、アウトドアに興じる時、恋人と愛を語る時・・・・・・。いつもかたわらでAORが鳴っている。それが自然な時代だった。
タイアップという暴力的な情報操作でプロモーションを展開する昨今と違い、良い音楽は口コミで広がってゆく・・・・・・そんな幸せな時代だった。
あの頃の高揚した空気感が、どれだけAORを輝かせていたか。またAORが自分たちの生活にどれだけ潤いを与えてくれたか。その一体感の素晴らしさを実感し、次世代に語り継ぐことができるのは、リアルタイム派だけなのだ。
「○○は・・・・?」
圧倒的な歌唱力を持つスーパー・シンガーにして、"ミュージシャンズ・ミュージシャン"と賞賛される凄腕サウンド・クリエイター
素性は純朴で優しいオッサンという感じ
余計なことを考えずにボサッと聴くには、とても気持ちの良いアルバム
日々の暮らしに疲れ、自分を見失いそうになった時、こんなにも優しい音があるのを思い出してほしい
彼は気負うことなく、自然体で音を創った
ポップ・ミュージックに、もっと大人っぽいサウンド、つまりジャズやソウル・ミュージックのエッセンスを加えてみたら・・・
"大人のゆとり"を感じるヴォーカルのセンス
ナイーヴかつピュアな心情
その芳醇なテイストと深いコクには、丹念に磨かれた技術とスピリットが息づいていた
安らぎの時間を演出してくれる
温かい包容力を持たせた
情感豊かに仕上げた傑作
人生の光と影をくっきり映し出す。時と運命に翻弄され、ひとときの悦楽にもありつけない。そんな男の哀愁と孤独を感じさせる、隠れた名盤だ
遅れてきたビートニク
サウンドはスペース感を生かしたフュージョン寄りのハイブリッドなもので、リズムは滑るようにしなやか。ちょっと投げやりなヴォーカルも、独特の雰囲気を放っている
筋金入りの極上品
私小説的に詩(うた)を普遍的で大衆にも通用する"歌"へと消化させた彼
骨太かつ臨場感のあるサウンドが打ち出された
この作品もほとんどがミディアム~スローで、郷愁を呼ぶようなノスタルジックな旋律が特徴。酸いも甘いも知った大人が、まだ青臭かった昔を振り返るようなアルバム
バード・バカラックにも通じる美しいメロディを紡ぎ出す名ソングライター
トロピカルなリラクゼィション・サウンド
ヒューマンなヴォーカルとまろやかなアコギの響き
どうしてこんなに優しいんだろう、どうしてこんなに穏やかなんだろう・・・・・・。
このアルバムを耳にするたび、そんなことを思う
纏ったファッションはその時々で変わっても、中身の人間まで変わってしまうワケじゃない―彼はきっとそう言いたいに違いない
音楽はスタイルじゃない。肝心なのは人間なのだと
これぞ"エヴァー・グリーン・ミュージック"と呼ぶにふさわしいサウンドだ。
若葉が急に萌え出して、街に活気が甦る頃・・・・・・。
あるいは風の色がゆるやかに褪めてゆく夏の終わり・・・・・・。
音楽が決して流行やスタイルではないことを教えてくれる、そんな素敵な"なごみ"の1枚である
しっとりした旋律に、フェミニンな詞。恋に悩み、愛に傷つき、それでもまた誰かを求めずにはいられない。そんな男のひとり言を綴った、悲しくホロ苦い詩(うた)の数々。思春期の頃ならば、誰だってそんな想いをしたことがあるだろう
常にマイペースを貫き通して活動している。まったく飾り気のないシンプルな作風は、コンサバティヴとも言える。しかしその素朴な味は、もはや彼の個性として確立するのではないだろうか
キャスティングは相変わらず豪華でも、プレイは実にストイック
無理をして音を重ねずに充分な空間を残している。だからストリングスやブラス、アコギがとてもヴィヴィッドに伝わってくるのだ。それが彼自身が失わずにいる青臭さと相まって、独特の味にもなっている。
ぬくもりのあるメロディとハーモニーが素晴らしい
妙な先入観や既成概念に捕らわれず、音楽のありのままを受け入れる
トロピカル風味とレイド・バックしたムードを品良くまとめてみせた
商業主義の業界と距離を置いた?彼は、シンプルでシャープな音作りを試みたり、ジャズに接近しながら、今も自分の音楽家としての欲求を満たすような創作活動を続けている
商業化/大衆化を内包しているのが普通だ。なのに彼は実に恣意的で、純粋に音楽的洗練のプロセスが聞こえてくる。本人の才能もさることながら、恵まれた環境が良質の音を生んだ絶好のサンプルだ
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