海外留学の理想と現実・浅井宏純
日本人にとっての国際性というのは、国際人的な意味で使われるのだと思いますが、もっと広い意味で使われる国際性というのは、主に国益なども含めてた、他国との違いということです。つまり、国益や文化的な意味での対立を前提にした、異文化へのコミュニケーションだそうです。現実にはそういう意味の方が強いのでしょう。
留学することが国際性を直接に育てるとは思いませんが、日本にいるよりは、留学することで早くから自然に外国人と触れるので、意識は国際的に変わるでしょう。繰り返しますが、日本人が日本人であることがとても重要であり、日本人であることが、すなわち国際的に貢献できるのを忘れないでください。
アイデンティティが育っていないのは、家庭での日常生活や日本の学校教育のなかで、誇り高い日本の文化が教えられていないからです。留学することで、日本にいる家族と日本により興味を持って、自分の文化を育てていく学生がいる反面、留学して根無し草になる学生がいます。彼らは、現地で知り合って友だちになった外国人から影響を受けやすく、彼らの文化に染まるのです。
もっともよい対策は、親が待つことです。気になっても、少々子供が苦労していても、放っておくことです。考え方の違う異文化に、子供が留学しているのです。親があれこれ自分の(日本での)考え方や知識でアドバイスしないことです。
遠くにいる親より、知覚の他人。子供には、離れた日本にいる親ではなく、留学先でお世話になっている身近な人、先生やホストファミリーや友だちに相談するようにさせることです。本人から相手に悩みを伝えることで、必ずうまく解決します。
「好きなことをしなさい」「好きなことを見つけて、一生の仕事にすればいいのよ」といって育てらている子供は、思考に柔軟性がなくなります。「(よい大学、よい就職のために)勉強さえしていれば、あとは好きなことをしていいのよ」というのも、根は同じです。そのようにいわれ続けて育てば、自分の希望を大切にするがために、人のアドバイスを聞かなくなります。好きなことをするためにはリスクがあり、したくないこともしなくてはならないことを教えておかなくてはなりません。
大人になったら「人の役に立つ仕事ができるようになればいいね」といって育てられた子供は、人のためなら人が嫌がる仕事にもチャレンジできるのです。その方がどれだけ可能性が拡がることでしょう。
私が3人の娘をすべて中学留学させた理由は「子供を自立させる」ためです。私は、「自立」が教育の役割の一つ、留学が自立の芽を育てる最高の手段だと、経験上、確信しています。だから、娘たちを旅に出して、他人の釜の飯を食べさせること、外国へ一人で行かせて、言葉の壁を乗り越えて、厳しくも楽しい学園生活をさせました。外国から親のこと、姉妹のこと、友だちのこと、日本のこと考えるきっかけを与えてあげたい。また、一度、日本の教育システムから外すことで、日本に戻っても、子供たちが自分の将来は自分で決められるような、逞しい想像力を身につけさせたかったからです。
「留学とはお金を出して、苦労を買いにいくもの」です。親の庇護から離れて精神的に独立し、日本での価値とはまったく違うものを学び、他人の気持ちをわかってをわかってあげらるように成長していくところに、留学生活の本当の意義があるのです。苦労を買おうとしないようでは、とうてい夢など追い求めることはできないのです。
感謝できない子は、日本ではいつも親に守られていて、欲しいものをなんでも与えられていたように感じます。高校生なのにとるべき責任が取れない。高校留学はもはや親の責任にはなく、自己責任なのです。
18歳くらいには、人生を自ら選ぶ能力を身につけて欲しい。だから旅(修行)をさせるのです。かわいい子には旅をさせる。旅行とは違い、旅には危険がつきものです。問題に直面したら、それを自らで乗り越えさせるのです。正しく生きることが社会への貢献です。そのうえで、夢大きく、志高く、世界のために日本のために活躍できるリーダーにも育って欲しいと願ってしるのです。
留学は日本では知り得なかった人々との出逢いと感動があります。感動は人を動かし人生を変える原動力ではないでしょうか。子供も大人も、留学体験をして初めて身につくことがたくさんあるのです。
遠藤周作は昭和25年、留学先のフランスへ上陸する直前に「ぼくはすべての独断を今日から捨てよう。すべてのものを新鮮なままで受け入れていこう。そして、より善きもの、より美しきものをこの国の中に探っていこう。自分をたえず支えるものは、誠実であり、真実に対する勇気であることにしよう、ぼくはそう考えました。」(『ルーアンの丘』)と決意を述べています。アレもコレも欲しがらなければ成功を手にすることは簡単なのです。なくすものなど何ひとつありません。勇気を持って新しい一歩を踏み出してみませんか。何はなくとも「夢はでっかく、根は深く!」です。
外国で成功するために重要なことは?
・偏見のない開いた目と冒険
・自信を確立し、外交的な性格を得、他の人たちと関係を得る能力を持つことです
・新しいやり方を学ぼうとする意思です。学ぶ意思と願望、これを持っている生徒、そして指示に従おうという意思がある生徒は海外でうまくやっていけるでしょう
・海外で勉強することに誠実でなければいけなせん。柔軟で態度を適応させることができ、他の人に対し開放的で親しみやすくなければいけません。また、異文化は生活スタイルに対し準備が整っていなければいけません。そうでなければカルチャーショックは大きすぎます
・異文化に対して、考えを広く持つ必要があります。物事に対して柔軟で、もっとも重要なことは、経験に対して前向きな態度が必要です。このような生徒は最適に対応でき、経験から最大のものを得ます
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