10/31/2007

留学で人生を棒に振る日本人/栄 陽子


留学で人生を棒に振る日本人/栄 陽子



中国やインドの人たちがアメリカの大学に留学するのは、より高いレベルの学歴を身につけて母国でステップ・アップするためであり、アメリカで人脈を作ることによって高い地位を獲得すること、そして母国の発展に寄与することを目的にしています。



決断力と行動力と勘が良ければ、集中力と記憶力と自己管理力がちょっと劣っていても人生の致命傷にはならない。



アメリカの教育

・大学の数が世界一多く、しかも日本の大学のように理系、文系、芸術系、体育系に分かれていない。

・専攻をふたつ取ることも可能で、音楽と物理など全く違う分野を同時に専攻することができる。また、パフォーマンスを大事にする国柄から、音楽や演劇、美術などの芸術分野はどの大学にもあり、まったくピアノを弾いたことがない人でも音楽を専攻することができる。

・医学、法学、獣医学、歯学、カウンセリングなど大学院からしか始まらない学部がある。

・国家ができる前からハーバード大学などの私立大学があり、州立の歴史は私立と比べて短い。

・私立大学は社会のリーダーを養成するための「全人教育」を大きな理念としている。全人教育とは、人格的な高みを目指す教育で、理系や文系に分けることなく様々な教育を受けて、芸術を愛し、科学に興味を持ち、スポーツができ、法律や経済について語れるような、芸術を含めてあらゆる分野の人間を育てることを目的としている。

・州立大学は新しい州の開拓民の教育水準を上げ、開拓の援助ができるように農業や工業などの実学を中心とした。

・州立は日本の公立高校のシステムに似た方式が採られていて、ひとつの州に、レベルの高いところから誰でも入れるようなレベルのところまでがある。自分が住んでいる州なら必ず入学できる州立大学があり。

・それぞれの大学に独自の入学基準があり、原則として入学テストはなく、書類選考が基本。全国的な学力テストはアメリカにもあるが、それで足切りをしたり、学力テストの結果のみで合否を決定するのではなく、あくまでも入学基準の一要素としている。

・私立大学は成績やテストの点数だけでなく全人的な要素を見るため、エッセイ、推薦状、面接などを重視するところが多い。成績やテストの結果を見る時も、上位グループから20%、その下のグループから10%、さらに下のグループから5%というように、バラエティに富んだ生徒構成にしないとディスカションが活性化しないと考える大学が多い。

・州立大学にも、自分の州の学生を必ず入れるほか、州内にあるすべての高校からトップクラスの生徒を中心に入れるというところ、黒人や中南米からの移民を10%程度入学させると決めているところ、親が大学を出ていない学生を10%程度入学させると決めているところなど、様々な入学基準がある。

・何より「バラエティとバランス」を好むため、大学生の出身校が偏ることがなく、同じ大学から大学院に優先的に入れることもない。エスカレーター式は、アメリカではあり得ない。

・昔から交通手段がない場所に大学があるため、もともと自宅から通えなかった。また、先生と学友と一緒に住んで勉強することで人間関係を学び、親離れをすることが大切とされていたので、今でもアメリカの大学のほとんどは寮制になっている。

・学期はセメスター制といって9~12月、翌年1から5月各16週間のふたつの学期で一年とするのが一般的で(三学期制の大学もある)、それぞれの学期に入学と卒業があるなど、完全に独立している。つまり、9月入学もあれば1月入学もあり、日本の大学のように前期と後期の通年で同じ授業を受けるという発想がない。

・日本のような入学式もなければ、親切なオリエンテーションもない。入学すると、すぐに授業がはじまってしまう。

・大学は単位制で、各学期で12~18単位とることができる。早く単位を取れば、三年や三年半で卒業することもできるが、ゆっくり単位を取って五年で卒業もよい。

・ひとつの学期が16週間で、8週間ごとに中間、期末テストがあるため、とてもめまぐるしい。

・大学で成績が二学期続けて四段階評価のC評価平均、大学院でB評価平均を下回ると、退学になる。大学院への進学や、一流企業の就職を目指すには、大学でもB平均をしていることが不可欠。

・大学や大学院を卒業するためには必要な単位数は、大学で120、修士課程で30~60、博士課程で90.多くの大学は卒業に必要な120単位のうち、60単位はどこから持ってきてもよいとされ、留学生は母国の大学で取った単位を認めてもらえる。



留学は、やる気、学力、心身ともにタフであること。



習得能力のよさだけでなく、物事を深く考え、自分なりの考えをまとめることができる能力を持ち、そして努力することを苦としない子どもは、どんな会社に入っても、どんな国へ行っても、そしてどんな時代になっても困らないものです。



私が留学を若い人たちに勧めるのは、何より自分の目で他国での生活を通して、日本を見つめ直して欲しいからです。そして、日本でしか通用しないような価値観をひっくり返し、自分の足で生きていく力を身につけて欲しい、そんなことも思ってます。

留学ほど、スリルと興奮とサスペンスに満ちたものはありません。価値観も習慣も違う人達とうまくやっていきながら、自分の意思を通す強さも必要なら、学校が要求する単位をしっかり取るために厳しい勉強を続ける努力も必要です。遊びたいという気持ちとも闘わなくてならないし、自分の甘さや至らなさを突きつけられても、それを受け入れつつ、そこでめげずに頑張る意地も欠かせないでしょう。

親元を離れて遠い外国で勉強し、卒業を迎えるためには、多くの精神的苦痛が伴います。しかし、それを乗り越えて得られるものこそが生きる力であり、自分に対する自信ではないでしょうか。

また、外国にいると自分の国や家族、そして自分自身について客観的に、そして深く考えることが多くなります。「愛国心」と言いますか、自分の国のよさは、外国に出て初めて知ることも多々あるものです。これは、とても大切なことだと思います。




0 件のコメント: