2/08/2008

「身の程」









「身の程」
「身の程」というのは、自分がそれを基準にして生きている規範の地域性・特殊性のことである。自分が規範としているものは、他の社会集団には適用されない。だから、自分と同じ規範に従っている人の言動については、ことの良否を言うけれど、自分の規範とは違う規範で行動している人については、礼儀正しい不干渉を保つ、というのが「身の程を知る」ということである。
今、日本人たちは「権力、財貨、情報、文化資本の占有を求めることがすべての人にとっての生きる目標である」と信じている。
それが日本的グローバリゼーションの帰結である。それは繰り返し用いる比喩を使っていえば、連休にディズニーランドに行って、「なんでこんなに人が多いんだ」と怒っている人間のあり方によく似ている。彼は他人と同じ行動をすることによってしか快楽を得ることができないのであるが、「他人と同じ行動をする」という当の事実が、そのつど彼が快楽を得ることを妨げるのである。
「他の人が欲しがるもの」を欲しがるというかたちでしか欲望を起動させることができないので、彼は物欲しげな顔になり、「他の人が欲しがるもの」はまさに当のその理由によって彼の手には入らないがゆえに、彼は構造的に恨めしげな顔になる。

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