2/14/2008

山田太一・日経夕刊02/13/07











山田太一・日経夕刊02/13/07
「親バカになれるのは親だけ」との言葉もあるくらいだから、子どもには愛情を注ぐできだろう。ただ、「最善は善の敵」ともいうように、やり過ぎてしまう点が問題なのだ。社会と距離を置いた「閉じた家族」で育てられた子どもは抵抗力に弱く、摩擦の多い社会では生きづらい。・・・・
子どもにとっては親がすべて。結局は親が子どもにまねされても良いような生き方をするしかないのだろう。一緒に暮らしているだけで十分に教育であって、それ以上を求めたら子どもは歪んでしまう恐れがある。自分にできないことはもちろん、自分にできることであっても、親は子どもに求めてはいけない場合もある。「ここに帰ってくれば大丈夫」という安心感を与えるだけでいいのだ。
コミュニケーションの希薄さが、いっしょにやっていこうという連帯感の弱さを招いているのかもしれない。
今求められているのは理性ではなく情愛。最近は困っている人に手を差し伸べようとすると、偽善者扱いされる傾向があるのはとても残念だ。いろいろ考え過ぎて手をこまねいていていては、何もできなくなってしまう。「個」が重視される時代だからこそ、共感を持って他者とかかわっていくことを、我々はもっと考えた方がいいと思う。

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